象の涙
先日、ニュースを見ていると「ぞうの国」を取材したときのことを放送していました。
このコロナ禍で象さんたちにストレスが溜まらないように、仮のショーを時々開くというのです。
何故ストレスが溜まるかというと、去年の秋ごろに大きな台風が来て、設備が壊れ、1週間ほど休園したそうです。
しかし、たった1週間休んだだけで、象さんたちに体調の異変が現れ、大変だったそうです。
その経験から、象さんたちに普段どおりのパフォーマンスをしてもらうことにしたそうです。
私から見れば、仕事が休めるからラッキー、となるのですが、象さんたちにはそれが仕事ではなく、日常の当たり前のことだったんですね。
観客とのふれあいや、たくさんの拍手がエネルギーとなり、それが生きがいだったのかも知れません。
観客役を、ふだんは担当ではない、園のスタッフが代わりに務めているのですが、頭のいい象さんたちは、とっくに見抜いていて、それでも普段どおりにパフォーマンスをこなしてくれたそうです。優しい象さんたちです。
ああ、象さんたちも生きているんだなぁ、修行をしているんだなぁ
もう、これだけで感動です。
「ぞうの国」と言えば、映画「星になった少年」のモデルになった、ランディがいるところです。ご存知の方もおられるかと思います。
実在した少年とランディのお話です。少年は「ぞうの国」の園長さんの息子さんでした。中学生の時、象に興味を持つようになり、象使いの勉強をするために、単身タイにわたりました。
帰国後、家業を手伝うようになり「ぞうさんショー」には自らマイクを持ち、象を操りながら、象のすばらしさを伝えていました。少年はランディに特別な愛情を注いでいたと言われています。何をするのにもいつも一緒だったようです。
が、少年は若干二十歳で交通事故で亡くなってしまいます。
その時の実際の葬儀の映像を見ました。
動物園での葬儀で、ランディをはじめ、他の動物たちも参列していました。が、出棺の時になると、ランディは少年のいる車の側で激しく泣き叫びました。制止する飼育員の手を払いのけ、いつまでも離れませんでした。
衝撃でした。少年の死を理解して悲しんでいたのです。
これを見て、泣かない人はいなかったのではないかと思います。今でも私は泣いてしまいます。動物の悲しむ姿は見ていることができません。
象さんって賢くて優しいですね。
すべての動物さんたちが、辛い思いをせずに、幸せでありますように。
※現在「ぞうの国」は開園しているそうです