聞こえない世界
今日は先日テレビで見た、ろう者(聴覚障害者)の話をします。
その人は、終戦前に樺太(サハリン)で生まれた日本人男性です。3歳の時に失聴したそうです。
戦後、樺太は旧ソ連の支配下におかれていました。
父親は幼少期に亡くなり、母親も少年期に亡くなり、男性は独りぼっちになってしまったそうです。
13歳で文字や手話を知るまでは、音のない世界にずっと一人孤立して生活していました。自分のルーツを知るすべもなく、何もわからずつらい時代を送ったようです。
30年程前のソ連崩壊後に、日本政府によるサハリン残留者の一時帰国支援があった時も、ろう者であるがために、知ることもなく、その支援は届かなかったそうです。
誰に気づかれることもなく、世の中の隙間に埋もれていたのです。
今の日本において、自分の存在が誰にも知られないことは、ほとんどないと思います。
社会の一員としてのアイデンティティーは確立されていますよね。
そんなことを思うと、私たちは社会の一員として存在できていることに、幸せを感じてもいいのではないかと思います。
ーー誰かにふられたっていいじゃないか、お金がなくたっていいじゃないか(いえいえ、それは困ります)五体満足だものーー
その男性は、現地の女性と結婚し、二人でひっそりと生活しています。
その顔は穏やかで、幸せそうな顔をされて、清らかな心が見て取れます。
昨年政府の支援で一時帰国を果たされています。良かったですね~👏