魂を見る
今日は、あるご夫婦の素敵なお話をします。
そのご夫婦の年齢は、男性70歳、女性90歳です。
えーっ、と驚きですよね。20歳も年齢が離れていて、ましてや男性の方が年下です。
しかも、2,3年前に結婚した新婚さんです。
普段の生活を見てみますと、女性がお台所を任されていて、男性は手伝えることがあれば手伝います。
女性が味付けを問うと、男性はもう少し濃いほうがいいといいます。女性は「あら、そう?」と不本意ながらも男性の意見に従います。
女性は男性に従うことを良しとして、男性は女性をそれとなく支える、そんな関係が穏やかな日常を生み出しています。
男性が現役だった頃の仕事は、NPOで海外に赴任していました。
女性は日本でボランティアでもされていたのでしょう、その関係から知り合われたのだと思います。
今、お二人が目標としていることがあるそうです。
一つの街を作りたい、コミュニティの特性を持った街を作りたい、と言っておられました。とても広い視野を持ったお二人です、目標が大きいです。
そんなお二人が毎日楽しみにしていることがあります。
就寝時に、男性が女性の肩を引き寄せて、頭を上から手で撫でおろしながら
「きょうはありがとうね、ありがとう」
と何度も何度も言うそうです。
「年齢は全然関係ない、魂を見ているんです、魂を」
と男性は言われます。
女性にとっては、この上ない、人間みょうりに尽きるほめ言葉ですね。
私も死ぬまでには、一度は聞きたい言葉です。
そんなお二人の余談です。
夏の暑い日に、女性が「帽子が欲しい」と言ったそうです。
男性は、夏だから麦わら帽子ぐらいのものは必要だろう、と思って二人でデパートに行き、女性に帽子を選ばせました。
女性の選んだものは麦わら帽子ではなく、どこかシックな高級そうな帽子でした。
「七千円か…少し高いけど必要なものだし」と思いつつ支払いに行くと
「七万円です」
男性は何かの間違いだろうと値札を見るのですが、やはり「0」が1個多かったのです。男性は悩みましたが、女性のために買うことにしたそうです。
女性はお嬢様育ちなので、お金のことはあまり深くは考えないのかもしれません。
価値観の違う二人ですが、それでもお互いを思いやって生きる、素敵な夫婦の姿を見せられたような気がします。