おじさんと呼ばないで
私が去年まで勤めていた会社にいた頃の話です。
私がいた部署には、どちらかと言うとボス肌の女性が二人いました。厳しくもザックリしたところのある二人です。
その二人の会話が時々聞こえてくるのですが、おそろしく毒のある会話なのです。多分、半分はジョーク、半分は本音なのでしょう。聞いている者にとっては
「ひぇ~、こわいよー」
となるわけです。あまりお近づきにはなりたくないタイプに見えます。
その二人はお互いを、大きいおじさん(体が)、小さいおじさん(体が)と時々呼び合っていました。その理由は、お互いが毒人間と認め合っての呼称のようです(こんなことを言っていると世間のおじさんに怒られそうです、すみません)
そんなある日、小さいおじさん(失礼)が私に向かって
「むつかさんって毒吐くよね~」
と言うのです。「えっ???」と私は驚きました。私には自分が毒を吐いているという自覚がまったくありません。
私は見たまま、感じたままをやんわりと言うタイプだと思っていましたが、よく考えると私の心の中には「ふざけて楽しみたい」と言う気持ちがあり、相手とその会話に乗じてついありのままを冗談で毒?なるものに変換しているようです。悪気はまったくないのですが。
これだけで私と言う人間に、傷つき腹を立てる人もいたと思います。
傷つけた人には、ごめんなさいとあやまるしかありません。
しかし、女性のおじさん二人は私のことを同類のにおいがしたらしく、親しみを込めて
「おじさ~ん」と呼んでくるのです。
私は「違う~」と抵抗するのですが、こうやって受け入れてくれているんだと思えば、それもありかな、としぶしぶ、まさかの「おじさん」呼称を受け入れました。
このように、普段から自分が思っている自分と、他人が思っている自分の差は意外とあるのかもしれません。常々自分を振り返っているのですが、思わぬ発見でした。
良いとも悪いとも言い難いのですが、このキャラで皆と仲良くできていたんだから、これで良かったんだ~、と自分を納得させる今日この頃です。